国際石油ニュース(2026 年 5 月 12 日) 中東地政学リスク(米イラン対立)と OPEC + の供給戦略が市場を支配し、原油価格は1 バレル 90~105 ドルで激しく変動しています。以下は最新の重要動向です。
リリース時間:2026-05-12 パブリッシャ:GINZO

一、主要原油価格(5 月 11 日終値)

 
  • WTI(米国軽質原油)100.45 ドル / バレル(前日比 4.8% 高、100 ドル突破)
  • ブレント(国際基準)104.42 ドル / バレル(同 3.09% 高)
 

二、米イラン対立:ホルムズ海峡が「世界のエネルギー咽喉」に

 

1. 紛争背景

 
2026 年 2 月 28 日、米イスラエル連合軍がイランを軍事攻撃し、ホルムズ海峡(世界の海上原油輸送の 25% を担う)は封鎖と反封鎖の綱引き状態に陥りました。
 

2. 最新状況(5 月 11 日)

 
  • 交渉決裂:イランは制裁解除と賠償を要求、米国は受け入れ不可として軍事的強化を警告。
  • 軍事的緊張高まる:米軍は海峡を 20 隻の軍艦で封鎖、イラン革命防衛隊は「油輪攻撃には基地を報復」と警告し、11 日に侵入ドローンを撃破。
  • 輸送麻痺:海峡の原油輸送量は日量 2000 万バレルから 800 万バレル未満に減少、世界供給は約10 億バレル減少。
 

3. 市場への影響

 
  • 供給危機:OECD 商業在庫は 5 年ぶり低水準(29.3 億バレル)、ジェーピーモルガンは封鎖が続けば 6 月中旬に「運用限界」に達すると警告。
  • 価格変動:5 月 6 日は和平交渉期待で 11% 超暴落、5 月 11 日は交渉決裂で 4% 超反発し 100 ドル台に回帰。
 

三、OPEC + 動向:増産乏力、UAE が脱退

 

1. 増産決定(5 月 3 日)

 
OPEC + 中核 7 カ国(サウジ、ロシア、イラクなど)は6 月に日量 18.8 万バレル増産で合意、3 カ月連続で枠を引き上げ。サウジとロシアは各 6.2 万バレル増。
 

2. 重大事件:UAE が OPEC 脱退

 
5 月 1 日、UAE が OPEC 及び OPEC + を正式に脱退(2019 年カタール、2023 年アンゴラに次ぐ)、組織の亀裂が顕在化。
 

3. 市場への影響

 
  • 増産効果限定:実際の増産幅は市場予想を大幅に下回り、中東の供給不足を補えない。
  • 価格決定権の分化:UAE が独自の生産政策を進める可能性があり、供給の不確実性が高まる。
 

四、需給と在庫:世界的供給不足拡大、回復長期化

 
  • 供給不足:過去 2 カ月で世界の石油供給は約 10 億バレル減少。サウジアラムコ CEO は、海峡封鎖が続けば市場が2027 年まで均衡しないと警告。
  • 在庫状況:OECD 商業在庫は前月比 1990 万バレル減少、海上滞留原油は 1.38 億バレルに急増(輸送障害の影響)。
 

五、今後の見通し

 
  1. 地政学リスクが主導:米イラン対立は短期的に緩和せず、ホルムズ海峡のリスクプレミアムが価格を支え、ブレントは 95~110 ドル / バレルで変動
  2. OPEC + の政策限界:増産幅が小さく、UAE 脱退で組織の執行力が低下、市場均衡機能が弱まる。
  3. 世界経済との連動:高原油価格がインフレを激化させ、FRB の利下げ延期を招き、世界経済成長に影響を与える。